競泳の2012年ロンドン五輪200メートル背泳ぎ銀メダリストの入江陵介(34)が3日、東京都内で引退会見を開き、涙を堪えながらも「大好きな水泳をここまでできてよかった」と心境を語った。五輪4冠で盟友の北島康介さん(41)もサプライズで登場した。

 3月のパリ五輪代表選考会では、100メートル、200メートル背泳ぎで派遣標準記録を突破できず、落選した。日本競泳界の最年長出場(34歳)、最多連続出場5回には、惜しくも手が届かなかった。

 入江はスーツ姿で登場し、冒頭から涙を堪えながらも言葉を紡いだ。「パリの地で引退したかった」と残念がりながらも、「東京の地でたくさんの人の目の前で泳ぎ切ることができたのは幸せな瞬間でした」と最後となった選考レースを振り返った。心境について「悔しい思い、晴れやかな気持ちが入り交じっている」と話した。

 16歳だった2006年に日本代表入り。18年間、競泳ニッポンの第一線で活躍した。12年のロンドン五輪では、100メートル背泳ぎで銅、200メートル背泳ぎで銀、400メートルメドレーリレーで銀と3つのメダルを獲得した。

 「一番覚えているのはロンドン五輪のメドレーリレー。4人でつないだ思いが史上初の銀になった。観客席を見ると日本人がみんな飛び跳ねて喜んでくれた。あの光景をもう一度みたいと思ってやってきた」

 サプライズ登場した北島さんとはロンドン五輪の400メートルメドレーリレーで共闘。入江は松田丈志さんを中心に「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないぞ」と誓い合ったメンバーでもある。

 今後についても言及した。「水着を持たずに海外に行ってみたい。パリに行きたい。パリに行くことを楽しみにしていた。観光でも何でもいいから行きたい」と話し、「リポーターのオファーがあればうれしい」と笑顔で”逆オファー”もした。育成活動を行い、スポーツマネジメントなどを学ぶため大学院進学も考えているという。

 ▼入江陵介(いりえ・りょうすけ) 1990年1月24日生まれ、大阪府出身の34歳。身長1メートル78センチ、体重68キロ。0歳から水泳を始め、100メートル背泳ぎ、200メートル背泳ぎの日本記録保持者。2008年北京五輪で初出場、12年ロンドン五輪では計3個(銀2銅1)のメダルを獲得した。